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#著作権
パブリックドメインは「著作権切れ=自由に使える」、という思い込みに潜む商業利用での盲点とは?
前編は絵画や画像、出版物に絞り、放送や配信の実務で直面する落とし穴について、
また、実践で使うおすすめの公的アーカイブサイトを紹介します。
制作進行 池部 博哉(いけべ ひろや)
インターネットの普及により、著作権の保護期間が満了した「パブリックドメイン(PD)」のコンテンツに触れる機会が格段に増えました。クラシック音楽や、没後長い年月が経った画家の名画など、個人が趣味で楽しむフリー素材として、あるいは学校教育の現場などでは、これらは非常に便利で心強い味方となります。
しかし、これが「商業放送」や「映像配信」などのビジネス実務、いわゆるプロのコンテンツ制作の現場となると、話はまったく別です。「著作権が切れているから、どんな使い方をしても安全だ」という認識のまま突き進むと、思わぬ落とし穴に足元をすくわれることになります。
今回は前編として、映像制作でも特によく使用される「絵画」「画像」「出版物」に絞り、その実務的な盲点と、プロの現場でも実際に活用できる信頼性の高いリソースサイトをご紹介します。
まず知っておくべきは、著作権(財産権)自体は消滅していても、その原品や関連するデータを「管理している団体や組織」が存在するという事実です。
たとえば、誰もが知る歴史的な絵画や美術品。それ自体はパブリックドメインであっても、所蔵している美術館や博物館には「所蔵権(所有権)」があります。多くの施設では、独自の利用規約によって、商業目的での反復利用や映像への映り込みに対して、許可や「美術品使用料(ポジ貸出料・データ利用料など)」を求めています。法律上の著作権はクリアされていても、施設の所有権や契約上のルールを無視して公開すれば、当然ながらトラブルへと発展します。
そして、実務で最も注意しなければならないのが、絵画や古書などの画像を扱う際の「撮影・複写」にまつわる問題です。
歴史的な名画のデジタルデータを使用しようとする際、その「名画を忠実に撮影・スキャンした写真データ」そのものに、撮影者の新たな著作権(あるいは二次的著作物としての権利)が主張されるケースがあります。平面の絵画を忠実に複写した写真に創作性(著作権)が認められるかどうかは法的な議論(いわゆる『原画忠実複写の著作権問題』)がありますが、実務の現場においては、その撮影画像を提供しているフォトエージェンシーや管理者との間で「有償の利用契約」を結ぶのが鉄則です。
【歴史的な絵画(パブリックドメイン)に強いサイト】
World History Encyclopedia
https://www.worldhistory.org/
世界中での文化遺産と歴史教育の推進のため活動しているアメリカ・イギリス・カナダに籍を置く非営利団体です。UNESCOや各国の大学と提携しており、メディアでも使用できる高精細な画像を提供しているため、歴史番組などのリサーチでも非常に頼りになります。
【著作権フリー・無料 公的アーカイブ】
国立公文書館(日本)
https://www.digital.archives.go.jp/
日本の歴史的な公文書や古文書の宝庫。デジタルアーカイブ化が進んでおり、高精細な画像を規約に準じて安全に使用できます。
国立国会図書館(日本)
https://dl.ndl.go.jp/
近代デジタルライブラリーなど、著作権の切れた膨大な国内の書籍や雑誌の誌面、古地図などを探す際の必須サイトです。
※日本国内の図書館で二次利用がしやすいデジタルアーカイブのリンク集
https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/plan/post_1044
アメリカ議会図書館(The Library of Congress)
https://www.loc.gov/
膨大な写真、ポスター、地図、音声、映像がデジタル化されており、パブリックドメインの素材が非常に豊富です。
ニューヨーク公立図書館(NYPL Digital Collections)
https://digitalcollections.nypl.org/
歴史的な写真や絵画、浮世絵、古地図など、デザイン的にも使いやすい高品質なビジュアル素材が揃っています。
フランス国立図書館(BnF)のデジタルライブラリー「Gallica」
https://gallica.bnf.fr/accueil/en/html/accueil-en
ヨーロッパの歴史、文学、美術に関する古い出版物や挿絵を探すのに最適です。
※これら以外にも、各国の国立図書館などでパブリックドメインの無料素材を提供している国は多くあります。ただし、「イギリスは19世紀の本だけが対象」といったように、国や機関によって対象となる年代やルールが細かく異なるため、利用前の規約チェックは欠かせません。
パブリックドメインは、ビジネスとして不特定多数に届ける映像や配信においては、決して「万能のフリーパス」ではありません。「著作権の消滅」は、あくまで権利処理という長いスタートラインの、最初の1歩をクリアしたに過ぎないのです。
私たち制作者は、作品が持つ歴史へのリスペクトを持ちつつ、その外側に重なる「管理の目」や「新たな撮影者の権利」にまで細心の注意を払い、確実なステップを踏んでコンテンツを世に送り出す必要があります。
次回の後編では、さらに複雑な罠が潜む「音楽(楽曲・音源)」のパブリックドメイン実務について深掘りします。
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