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#022_その音、借りても大丈夫?AI時代のサンプリングと著作権
2026.10.09
#022_その音、借りても大丈夫?AI時代のサンプリングと著作権

#AI生成

#サンプリング

#著作権

既存の楽曲から音を抽出・再現する「サンプリング」や「インターポレーション」。
AI技術の進化で音源分離が容易になった現代における音楽制作と著作権・原盤権の境界線についてCEO林が解説します。

昔のヒット曲を聴いていて、「あれ?このフレーズ、最近の曲でも聴いたことがあるな」と感じることがあります。

印象的なギターのフレーズが別の曲に登場したり、懐かしいドラムのリズムが新しいダンスミュージックに使われていたり。

こうした手法は、ヒップホップをはじめ、さまざまな音楽で使われています。過去の音楽を新しいアイデアと組み合わせ、別の作品へと生まれ変わらせる。

これも音楽制作の面白さのひとつだと思います。

一方で、こうした制作方法には、あまり知られていない著作権の問題もあります。

さらに最近では、AIによって既存の曲から特定の楽器の音だけを抜き出すことも容易になりました。取り出した音を使って新しいメロディーを作れば、それは自分のオリジナル曲として自由に発表できるのでしょうか?

今回は、そんな音楽制作と権利の関係について考えてみたいと思います。

「弾き直すのと、録音を使うのは違う」

好きな曲のギターフレーズを、思わず自分でも弾いてみたくなる。ギターを弾く人なら、きっとそんな経験があると思います。気に入ったフレーズを弾いているうちに、別のメロディーが浮かんできたり、新しい曲のアイデアにつながったりすることもあります。

既存の音楽を新しい曲に取り入れる方法に、「インターポレーション」と「サンプリング」があります。少し聞き慣れない言葉ですが、違いは比較的シンプルです。

あるロックの名曲に、印象的なギターのフレーズがあったとします。そのフレーズを自分で弾いて再現し、新しい曲に取り入れる。これがインターポレーションです。

一方、元の録音音源からギターの演奏音を直接抜き出し、新しい曲に組み込む。こちらがサンプリングです。

どちらも既存の曲を利用する方法ですが、権利の扱いは異なります。

インターポレーションでは、元の録音を使わないため、通常、その録音に関する原盤権の許諾は必要ありません。ただし、元の曲の創作的なフレーズを利用するなら、作曲家などの著作権者の許諾が必要になります。

サンプリングでは、元の録音そのものを使うため、原盤権の処理も必要です。

つまり、同じギターのフレーズでも、弾き直すのか、録音された音を使うのかによって、必要な権利処理が変わってくるわけです。

「ドラムの一音にも権利がある?」

音楽の面白さは、メロディーだけにあるわけではありません。

ドラムの一音、ベースのうねり、ギターのカッティング。ほんの一瞬の音が、その曲ならではの雰囲気を作っていることもあります。

古いファンクの録音音源から、スネアドラムの「タン!」という一音を取り出し、新しい曲のリズムに使ったらどうでしょう。その一音が元の楽曲の創作的な表現を利用していなければ、楽曲の著作権については許諾が不要となる可能性があります。

しかし、録音された音をコピーしている以上、原盤権の問題は残ります。

さらに、ドラムの演奏を数小節まとめて使うとなると、話は少し変わってきます。単純なリズムなのか、その曲ならではの独特なリズムやフレーズなのかによって、楽曲の著作権の判断も変わってくるからです。

ベースやピアノ、ギターなどの印象的なフレーズを使う場合も同様です。
「たった数秒だから大丈夫」「ドラムだけなら自由に使える」とは、必ずしも言えません。

音楽を聴くときには意識しないような短い音にも、録音に関わった人たちの権利が存在しているのです。

「AIで抜き出した音は、誰のもの?」

最近では、AIを使った音源分離の技術によって、音楽制作の環境も大きく変わりつつあります。

昔のヒット曲からベースの演奏だけを抜き出し、テンポや音程を変えて、新しい曲の伴奏に使う。以前なら難しかったことが、今では比較的簡単にできるようになりました。

僕自身、こうした技術の進化には、本当に驚かされます。音楽制作の可能性が広がることは、やはり面白いものです。

ただ、ここで気になることがあります。
AIで抜き出し、加工した音は、まったく新しく作られた音と考えてよいのでしょうか?
元の録音から取り出した音である以上、AIで加工したという理由だけで、元の音源に関する権利がなくなるわけではありません。

一方、AIに「1970年代のファンク風のベースを作って」と指示して、新しい伴奏を生成する方法もあります。こちらは既存の録音から音を抜き出すのではなく、新たな音を生成するものです。

同じAIを使った音楽制作でも、両者は大きく異なります。

もちろん、AIが作った音だからといって、すべてが新しい表現とは限りません。既存の曲のメロディーや特徴的なフレーズを再現してしまえば、著作権の問題が生じることもあります。

大切なのは、AIを使ったかどうかではなく、その音がどこから来たのか、どのように作られたのかということだと思います。

誰でも音楽を作りやすい時代になりました。しかし、それは誰の音でも自由に使えるようになった、ということではありません。

「メロディーがオリジナルなら、すべて自分の曲?」

ここで、新しく作った曲そのものの権利についても考えてみたいと思います。

気に入ったベースのフレーズをサンプリングし、その上に自分で考えたメロディーを乗せる。コードを工夫し、楽器を重ね、アレンジを仕上げて、ようやく一曲が完成したとします。

メロディーは完全にオリジナル。
自分なりのアイデアもたっぷり詰まっています。
作った本人にしてみれば、まさに自分の新曲です。
でも、その曲の著作権は、すべて自分のものになるのでしょうか?

新たに創作したメロディーには著作権が生まれます。しかし、元の曲の創作的な表現を利用していれば、その権利を無視することはできません。

また、元の録音音源を使うための原盤使用料と、楽曲の著作権に関する許諾は、それぞれ別に考える必要があります。

元の曲を少し使ったら、その作曲家に新曲の著作権使用料を何%か渡さなければならないのでしょうか。

実は、サンプリングしたからといって、自動的に決まる一律の分配率は無いのが現状です。どの部分を、どのように利用するのか。元の曲の権利者とどのような条件で合意するのか。そうした内容によって、必要な許諾や使用料、新曲の権利関係も変わってきます。

ちなみに、JASRACが管理している曲でも、既存曲を編曲する場合は、作曲家や音楽出版社などの権利者から別途許諾を得る必要があります。また、市販の録音音源をサンプリングする場合には、レコード会社などへの権利処理も必要です。

「新しい音楽を生み出すということ」

音楽は、さまざまな作品から影響を受けながら発展してきました。

昔の音楽に新しいメロディーやリズムを組み合わせ、まったく違う作品を生み出す。そこには、オリジナルの作曲とはまた違った創造性があると思います。

そしてAIの登場によって、これまで難しかった音の加工や再構成も、ますます身近になっていくでしょう。
ただし、「技術的にできること」と「権利上、自由に使えること」は別の話です。

新しいメロディーを作ったからといって、伴奏に使った音の権利まで自分のものになるわけではありません。

大切なのは、どの曲の、どの音を、どのように使っているのかを理解し、必要な権利処理を行うこと。新しい技術を活用しながら、これまでにない表現を開拓し、音楽を創造していく。
そして、それが聴く人の心に響くものになれば、最高です。
もちろん、その音楽の礎となった作品と、それを生み出した人たちの創造性や権利には、最大限のリスペクトを込めて。

これからの音楽制作では、そんな姿勢が、より一層求められるのではないかと強く感じているのです。

当社は、AI時代の最新技術と著作権・原盤権などの権利クリアランスに精通した制作体制で、安全で高品質な映像・音声コンテンツを提供します。企画制作や権利処理のご相談はお気軽にお問い合わせください。

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