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#014_『マンダロリアン&グローグー』は“究極のオタク” が作る「12歳のための映画」
2026.06.11
#014_『マンダロリアン&グローグー』は“究極のオタク” が作る「12歳のための映画」

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令和の今、「スター・ウォーズは12歳のための映画」というルーカスの原点を現代に蘇らせた『マンダロリアン&グローグー』。監督ジョン・ファブローとプロデューサーのデイヴ・フィローニが織りなす“究極のオタク”の情熱と、家族で共有できるファミリー映画の魅力を、制作進行の池部がオタク視点で深掘りします。

『マンダロリアン&グローグー』を作ったふたりの“オタク”

「スター・ウォーズ」の“産みの親”ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズ(以下「SW」)は12歳のために作られている」といった趣旨の発言を繰り返してきました。大人向けの複雑で高尚な物語ではなく、子どもたちが純粋にワクワクできる最高の娯楽映画であること―その原点であり「グランド・ナラティブ(大いなる物語)」としての「SW」を、見事なまでに現代に蘇らせたのが、マーベルコミックの映画『アイアンマン』の監督で知られるジョン・ファブローとアニメシリーズ『SW/クローン・ウォーズ』で総監督を務めたデイヴ・フィローニという“究極のオタク”です。

興味のツリーに広がる豊かな教養

彼らの頭の中にある「興味のツリー」を覗くと、その圧倒的な情報量に驚かされます。ルーカスが愛した黒澤明の時代劇や武士道・禅の精神、西部劇やマカロニ・ウェスタンといった娯楽映画のDNA。さらに日本の漫画原作の大衆娯楽時代劇『子連れ狼』、宮﨑駿アニメーションの豊かな情感を伴う動き、児童文学や神話の思想、バンド・デシネ(欧州漫画文化)の色彩までが地続きで繋がっています。

孤独な侍のようなディン・ジャリンと、守るべき「他者」

本作の主人公ディン・ジャリン(マンダロリアン)は、掟に生きる孤独な賞金稼ぎです。日本の侍や浪人、歴史の中で世界に散らばったユダヤの人々、ベトナム戦争をはじめとする紛争下の傭兵・孤児といった社会の片隅に追いやられた者たちの影を背負っています。そんな彼が、かつてのマスター・ヨーダと同じ種族の孤児・グローグーと出会い、「守るべき他者」を得たことで物語が動き出します。配信ドラマのシリーズを通して、その関係性が深まっていく様が描かれています。

パペットが生み出す普遍的な愛らしさ

特筆すべきは、幼きグローグーへのまなざしです。最新のCGではなく、徹底して「パペット(人形)」という実物を使って表現されたその健気な愛らしさは、多様性と多文化主義が混在する銀河の中で、言葉を超えて人々の“守ってあげたい”という気持ちをを掻き立てます。ここには、作り手が10代の頃に浴びるように消費し、血肉化してきた大衆カルチャーへの圧倒的なリスペクトと執念が宿っています。

家族で共有する「刷り込み」の力

こうした「10代の刷り込み」の影響力を私自身が強く実感しています。私が小学生の時に第1作目(『SWエピソード4』)と出会って以来、新作が公開されるたびに映画館へ足を運んできました。『SW EP9 スカイウォーカーの夜明け』は家族で映画に行き、42年に渡って描かれた「サーガ」を見届けました。その同じ年の2019年、まだ娘が小学生だった頃に配信が始まった『マンダロリアン』は、コロナ禍でおうち時間が増えたことも重なり、家族みんなで吹き替え版を観ることが、ある時期の我が家の習慣になりました。

そして今年、2026年5月22日。劇場映画としては『スカイウォーカーの夜明け』以来、実に7年ぶりとなる新作『マンダロリアン&グローグー』が公開されました。7年前は中1だった息子は20歳になり、小4だった娘は高校生に。今ではそれぞれが個人のスマホで動画やスポーツのライブ配信を楽しむ時代ですが、この作品だけは「SNSのネタバレを踏まないように」と声を掛け合い、再び家族揃って映画館へ。バラバラのコンテンツを消費するようになった今、ファミリー映画としての力がこの作品にはありました。

今や高校生になった娘は、同じSWのスピンオフドラマ『キャシアン・アンドー』を観て、デイヴ・フィローニとジョン・ファブローの路線とは異なるトニー・ギルロイのリアルな重さがある作劇に戸惑いながらも、「戦争や政治」について考えてしまうと言います。

かつてルーカスが12歳に向けて放った弾丸が40年後の私を動かしているように、オタクたちが情熱を込めて作った物語は、確実に今の10代の心にも「何か」を刷り込み、思考の種を蒔いているのです。侵略や分断が絶えない現実世界だからこそ、民衆の多様性を描きつつ、個の絆と他者への愛を問いかける『マンダロリアン&グローグー』の物語は、いま再び、劇場という大きな広場で体験されるべきエンターテインメントなのだと感じています。

株式会社ライツは、子どもから大人まで心に残る映像・教育コンテンツ制作を得意としています。流行の分析、ストーリーテリング、権利処理まで、貴社の企画をトータルでサポートいたします。「記憶に残るコンテンツを作りたい」「トレンドを活かした教材・映像を企画したい」といったご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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