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#012_その曲、本当に使って大丈夫? 音楽の「著作権」と「著作隣接権」を考える
2026.05.27
#012_その曲、本当に使って大丈夫? 音楽の「著作権」と「著作隣接権」を考える

##著作隣接権

##音楽利用

#著作権

映像や広告などの音楽利用の実務において、見落とされがちな3つの視点とは?
「楽曲」と「音源」の違いや著作隣接権の重なりなど、
トラブルを防ぎ安全に音楽を利用するための基礎知識を解説します。
CEO/チーフ・プロデューサー 林 要(はやし かなめ)

まず分けたいのは、「曲」と「音源」

音楽の権利を考えるとき、まず押さえておきたいのは、「曲そのもの」と「録音された音」は、別の権利で守られているという点です。ここを分けて考えるだけで、著作権と著作隣接権の関係はかなり見えやすくなります。

「著作権」とは、作詞家や作曲家など、作品を創作した人に発生する権利のことです。音楽でいえば、歌詞、メロディ、楽曲そのものを守る権利です。たとえば、ある曲をテレビ番組やCM、教材映像、配信動画などで使う場合、その曲の作詞者・作曲者、または音楽出版社など、権利者への許諾確認や使用料の処理が必要になります。

一方、「著作隣接権」は、作品を作った人ではなく、作品を人々に届ける役割を果たした人や事業者に認められる権利です。CRIC〈公益社団法人著作権情報センター〉は、著作隣接権を「著作物の創作者ではないが、著作物を公衆に伝達するうえで重要な役割を果たす者」に与えられる権利と説明しています。ここには、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者が含まれます。

著作隣接権は、音楽を“届く形”にした人の権利

音楽でいえば、作詞家・作曲家が生み出した曲を、歌い、演奏し、録音し、世の中へ届ける人たちの仕事にも、独立した価値があるという考え方です。著作権が「作品の創作」を守る権利だとすれば、著作隣接権は「作品を届く形にした行為」を守る権利だといえます。

たとえば、ある作曲家が一曲のメロディを作ったとします。この時点で、その楽曲には「著作権」が発生します。しかし、その曲を歌手が歌い、ミュージシャンが演奏し、レコーディングスタジオで録音され、レコード会社や制作会社が音源として完成させた場合、その「録音された音」にも別の権利が生まれます。これが「著作隣接権」の領域です。

身近な例でいえば、著作権は「料理のレシピ」、著作隣接権は「そのレシピをもとに、実際に料理して皿に盛りつけた完成品」に近いものです。同じカレーのレシピでも、料理人Aさんが作ったカレーと料理人Bさんが作ったカレーは、味も香りも盛りつけも違います。音楽も同じです。同じ曲であっても、オリジナル音源、ライブ音源、別アーティストによるカバー音源、カラオケ音源は、それぞれ別の「完成した音」です。

JASRACだけで全部OK、とは限らない

この違いを理解していないと、実務では誤解が起きてしまいます。たとえば「JASRACに申請したから、市販CDの音源をそのまま映像に使ってよい」と考えてしまうケースです。しかし、JASRACなどが主に管理しているのは、作詞・作曲に関する著作権です。市販CDや配信音源そのものを使う場合には、その録音物を作ったレコード製作者や、実演家などの著作隣接権の処理が別途必要になることがあります。

つまり、「曲を使う」のか、「音源を使う」のかで、確認すべき権利者が変わるのです。自分たちで新たに演奏・録音する場合は、基本的には曲の著作権処理が中心になります。一方、既存の市販音源をそのまま使う場合は、曲の著作権に加えて、録音物に関する著作隣接権の確認も必要になります。

著作権と著作隣接権では、保護期間も違う

存続期間にも違いがあります。「著作権」は、原則として著作者の死後70年まで保護されます。複数の著作者が関わる場合には、誰の、どの権利を基準に考えるかを確認する必要があります。

これに対して「著作隣接権」は、必ずしも人の死亡を基準にするわけではありません。実演家の権利は実演が行われた時から70年、レコード製作者の権利はレコードが発行された時から70年、放送事業者・有線放送事業者の権利は放送または有線放送が行われた時から50年とされています。なお、レコード、つまり録音音源が発行されない場合には、音を固定した時点を基準に考えることがあります。

この違いは、著作権が「作品そのもの」を守る権利であるのに対し、著作隣接権が「作品を届けるための行為や投資」を守る権利であることを示しています。音楽は、作詞・作曲されただけでは、まだ多くの人に届きません。歌う人、演奏する人、録音する人、音源を制作・流通させる人がいて、初めて社会に届く形になります。著作隣接権は、その橋渡しの仕事に光を当て、保護するための権利です。

一文に場合が2回あるので、レコード、つまり録音音源が発行されない場合には、音を固定した時点を基準に考えることがあります。

実務で見落としやすい三つの視点

音楽利用の実務では、欠けがちな視点が三つあります。

第一に、「楽曲」と「音源」を分けて考える視点です。同じ曲であっても、どの音源を使うのかによって、確認すべき権利は変わります。

第二に、映像、広告、教材、配信などでは、著作権と著作隣接権が重なって問題になるという視点です。音楽を背景に流すだけに見えても、実際には「曲の利用」と「音源の利用」が同時に起きている場合があります。

そして第三に、契約によって権利の所在や利用できる範囲が変わるという視点です。買い取り、譲渡、利用許諾、管理委託の違いによって、誰に、どこまで何の許可を取るべきかが変わります。

結論として、音楽の権利は、1)「曲」2)「実演」3)「録音物」の三層で見ると理解しやすくなります。「著作権」は、作品の設計図を守る権利。「著作隣接権」は、その設計図をもとに音として形にし、人々へ届けた成果を守る権利です。

この二つをきちんと分けて考えることが、音楽利用の実務における最初の安全装置になるのです。

複雑な音楽の権利処理は、実務における大きなハードルとなります。ライツでは、確かな専門知識のもと、権利処理から最適な映像・コンテンツ制作までトータルでサポートいたします。お見積りや企画のご相談など、お気軽にお問い合わせください!

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