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先入観を超えた時に感じた価値。
思い込みが、人の感情や想像力にどのような影響を与えるのか。
“映像の心地よさの個人的な体験“です。
クリエイティブディレクター/企画プロデューサー 上田 勝巳(うえだ かつみ)
「思っていたのと、違う」
この言葉には、二つの対照的な感情が同居しているように思います。
自分の予想や期待が、心地よく、鮮やかに裏切られたときに生まれる「感動」や「衝撃」。
一方で、期待に届かなかった際に抱く「落胆」や「失望」。
映像制作に携わる者として、常にこの言葉の重みを噛み締めています。
2016年に米国アカデミー賞主演男優賞を受賞した、レオナルド・ディカプリオ主演の『レヴェナント:蘇りし者』。私にとってこの作品は、まさに前者の「良い意味で期待を大きく裏切られた」一作となりました。
実は、鑑賞するまでにはずいぶんと長い「食わず嫌い」の期間がありました。
「雪山での過酷な復讐劇」という前評判を耳にし、鑑賞後に気持ち落ち込むのではないか、または単に痛々しい描写が続いて見ているのが辛くなるのではないか。そんな心配ばかりして、なかなか手を出せずにいたのです。
配信サービスでいつでも視聴できる環境になっても、心のどこかで覚悟が決まらず、長い間観るのを避けていました。
日頃から、映像を楽しむ際は「事前情報を入れすぎない」という主義です。情報が多すぎると、作品が持つ純粋な驚きを損なう恐れがあると考えているからです。
そのため、この作品についても「クマに襲われる」「仲間に裏切られる」といった断片的な情報から、自分なりに勝手なストーリーを思い描いていました。
「腕利きの猟師が裏切り者に立ち向かい、そこに人食いグマが絡んで三つ巴のバトルが繰り広げられる……最後は卓越した射撃技術で生還する、手に汗握るアクション大作」
サブタイトルの「蘇りし者」という言葉も、裏切り者に殺されたはずの主人公が実は生きていて、執念で生還して相手を倒す。あるいは、倒したはずの悪役が再び襲いかかってくるといった、安易な解釈をしていたのです。
しかし、ようやく重い腰を上げて映画と対峙したとき、その予想はみごとに打ち砕かれました。
そこには、想像をはるかに超える「生への執着」と、魂を揺さぶるような圧倒的な「映像美」でした。
もちろん復讐という軸はありますが、この作品の本質はそこではありませんでした。これは「復讐劇」という枠組みを借りた、究極のサバイバル記録だったのです。
物語の序盤、主人公グラスが直面する絶望は筆舌に尽くしがたいものです。自然界の圧倒的な暴力の象徴であるクマの襲撃、生存不可能とも思える致命傷。そして凍てつく冬の山中に一人取り残されるという、死よりも残酷な状況。
特筆すべきは、ディカプリオ氏が「言葉」を失いながらも、その瞳の揺らぎや呼吸、地を這う体の動きだけで、観客に「生きたい」という原始的な欲求を突きつけてくる点です。セリフによる説明に頼らず、凍てつく空気の冷たさや土の匂い、傷口の痛みまでをも描き出す。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の徹底したリアルさと、詩的な映像美が見事に融合していました。
私が勝手に想像していた「派手なアクション」は、そこにはありませんでした。
代わりに突きつけられたのは、無慈悲な大自然の中で抗い続ける人間の、強靭さと脆さという冷徹な真実です。その「抗い」のプロセスの壮絶さに、観ているこちらの呼吸すら止まりそうになるほどの没入感を覚えました。
「思っていたのと、違う」
鑑賞後に口を突いて出たこの言葉は、安易な予測をしていた自分を恥じる言葉であり、同時に、映像という媒体が持つ「体験の力」に心から平伏する、最高の称賛でもありました。食わず嫌いをしていた時間を惜しく感じると同時に、今の自分だからこそ受け取れたこの作品の密度に、深い感謝の念が湧き上がったのです。
もし皆様の中に、私と同じように「重たそうだから」と二の足を踏んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひその先入観を一度解き、真っさらな状態でこの世界に触れてみてください。
そこには、一人の人間が極限状態で「蘇る」瞬間の、言葉を超えた輝きが待っています。
映像という魔法が、いかにして私たちの想像力の壁を壊してくれるのか。その驚きを味わうためだけでも、本作の価値は十分にあります。ぜひ、静かな環境で、彼の「呼吸」を間近に感じながら鑑賞してみてください。
見終えた後、皆様もきっと深い余韻に浸られることと思います。
*後日、同じ原作の映画が「荒野に生きる(邦題)」というタイトルで1971年にアメリカで制作されたと知りました。まだ見ていません。これから見るのが楽しみです。
私たちも制作の現場において、皆様の想いを形にする際、この「良い意味での裏切り」を常に追い求めたいと考えています。テンプレートな表現に満足することなく、観る方の心に深く刻まれるような、温度のある映像を。
皆様と一緒に、想像を超える景色を描ける日を心より楽しみにしております。